NAS-Xとは?
「NAS-X」は、ネットワークにつながった複数のNAS(ネットワークアタッチトストレージ)※1が、お互いの空いているストレージ容量を上手に利用し、データを分散してバックアップする技術の総称です。この技術は、特定の管理サーバーや一つのクラウドサービスに頼ることなく、トラブルに強く、データを長く保ち続ける新しいストレージの仕組みを目指しています。
データ消失のリスクと中央集権型ストレージの課題
写真や動画、仕事のデータなど、個人や企業が扱うデータの量は年々増えています。しかし、データの保存には次のような問題が考えられます。
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NAS本体の故障や災害によるデータ消失
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クラウドサービスが終了してしまうリスク
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ランサムウェアなどのサイバー攻撃による被害
複数のハードディスクを組み合わせてデータを分散・複製するRAID構成※2や、クラウドへのバックアップはデータの保護に役立ちますが、「機器ごと」や「事業者ごと」の障害には弱いという課題がありました。
このような状況を受けて、WISERAとNFTDriveは、「特定の管理者に依存せず、ユーザー同士が協力してデータを守る仕組み」として、「NAS-X」の開発と特許出願に至りました。
NAS-X技術のポイント
「NAS-X」では、分散型ファイルシステムであるIPFS(InterPlanetary File System)が活用されています。IPFSは、データの「保存場所」ではなく、「データの内容」そのものに基づいて識別子(CID)を付け、管理する技術です。これにより、特定のサーバーに依存せずにデータを共有したり取得したりできるのが特徴です。
NAS-Xでは、各ユーザーが持つNASがP2Pネットワークに参加することで、次のような特徴を持つ分散ストレージ環境が作られます。
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ユーザー間の相互バックアップ: 各NASの空き容量を利用し、1対多(1:n)の形でデータを分散保存します。これにより、どこか一つが故障しても全体が止まることのないバックアップ環境を実現します。
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データの暗号化による高い秘匿性: 他のユーザーのNASに保存されるデータは暗号化されるため、保存先のユーザーを含め、第三者がその内容を見ることはできません。
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中央管理サーバーに依存しない: バックアップの処理はNAS同士が直接行い、特定の管理サーバーを介しません。これにより、サービス終了や地域的な障害などのリスクを避けることができます。
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コンテンツ識別子による管理と復元: データの「保存場所」ではなく「内容」で管理することで、柔軟で高度なデータ復元が可能になります。
これらの仕組みを通じて、「NAS-X」は、データを長期間にわたって安全に保ち続ける分散型ストレージの基盤を築くことを目指しています。
実証と今後の展望
「NAS-X」については、すでにテストと実証検証が実施されており、分散バックアップやデータ復元が問題なく行われることが確認されています。今後は、製品への段階的な導入や、用途に合わせた最適化が進められる予定です。
この技術は、WISERAが提供する家族や個人向けの思い出保存・データ継承プラットフォームや、NFTDriveが進める分散型ストレージおよびWeb3関連技術の中心的な役割を担うことになります。将来的には、個人利用だけでなく、法人、自治体、コミュニティ向けのデータ保全への展開や、パートナー企業との協力も視野に入れているとのことです。
会社概要
株式会社WISERA
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所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号渋谷道玄坂東急ビル2F−C
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代表者:代表取締役社長CEO 岸本 渉
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事業内容:家族・個人向けデータ保全/思い出保存プラットフォームの企画・開発
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公式サイト: https://www.wisera.link
株式会社NFTDrive
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所在地:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町44番地 協栄ビル2階 京都朱雀スタジオJ-506
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代表者:代表取締役 中島 理男
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事業内容:分散型ストレージ技術、Web3関連システムの研究・開発
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公式サイト: https://nftdrive.net
用語解説
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※1:NAS(Network Attached Storage)
ネットワークに接続して利用するデータ保存装置です。家庭や会社で、複数のパソコンやスマートフォンから写真、動画、仕事のデータなどを共有したり保存したりするのに使われます。 -
※2:RAID構成(Redundant Arrays of Independent Disks)
複数のハードディスクを組み合わせて、データを分散・複製して保存することで、もしディスクが故障したときにデータが失われるリスクを減らす仕組みです。主に同じNAS本体の内部で利用されます。

