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2025年の企業休廃業・解散、過去10年で2番目の高水準に 「黒字」企業が初めて5割を割り込み中小零細の「静かな退場」が鮮明化
投稿日 2026年1月9日 12:32:16 (ニュース)
休廃業・解散の定義
ここで言う「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)とは異なり、特別な法的手続きを取らずに企業活動を停止した状態や、商業登記などで解散が確認された企業を指します。将来的な企業活動の再開を否定するものではなく、また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計されることもあります。
「黒字」で事業を終える企業の割合が初めて5割を下回る
今回の調査で特に注目すべきは、休廃業・解散した企業のうち、直近の決算で「黒字」だった企業の割合が49.1%となり、調査開始以来初めて5割を下回ったことです。これは2020年の57.1%をピークに5年連続で低下しており、物価高や人件費などのコスト上昇が企業の収益を圧迫し、損益が悪化した状態で事業を終える企業が増えている傾向がうかがえます。

また、保有資産が負債を上回る「資産超過型」の休廃業・解散の割合も63.4%と、2年ぶりに前年を下回りました。このことは、比較的に体力のある企業でも事業継続が難しくなっている現状を示唆しています。
雇用と売上高への影響
休廃業・解散した企業で働いていた正社員の数は、少なくとも累計9万3272人に及び、前年より約6000人増加し、2016年以降で最も多くなりました。すべての雇用が失われたわけではありませんが、多くの従業員が転退職を余儀なくされたと考えられます。2020年以降のコロナ禍では、累計で約50万人分の雇用が失われた計算になります。さらに、失われた売上高の合計は2兆4909億円に上りました。

中小零細企業の「静かな退場」が進行
資本金別のデータを見ると、2025年には資本金「100万円以上1000万円未満」の企業が最も多く、全体の44.7%を占めました。資本金「100万円未満」の企業も年々増加傾向にあり、資本金1000万円未満の企業による休廃業・解散が半数を超えています。このことから、小規模・零細企業が中心となって事業を終える「静かな退場」が増えていることがわかります。

コロナ禍では持続化給付金や雇用調整助成金などの手厚い支援策がありましたが、2023年以降はこれらの支援が縮小されました。それに加えて、電気代などのエネルギー価格高騰、物価上昇、代表者の高齢化、後継者不足、人手不足といった複合的な経営課題が重なり、多くの企業が厳しい状況に直面しています。こうした中、手元資金に余裕があるうちに会社を畳むという選択をする中小零細企業が増加している可能性が指摘されています。
経営者の高齢化が加速
休廃業・解散時の経営者平均年齢は、2025年には71.5歳となり、前年に続き5年連続で70代を記録し、過去最高を更新しました。最も休廃業が多い年齢も76歳と、15年前の2010年(63歳)から13歳上昇しています。年代別では「80代以上」の割合が24.4%と過去最高を更新し、過去10年で約2倍に増加しました。体力的な問題から後継者への事業承継が困難となり、休廃業・解散に至るケースが多いと考えられます。

地域別・業種別の動向
地域別では、東京都が唯一1万件を超える1万5804件で最も多く、次いで大阪府、神奈川県、愛知県と大都市圏での発生が目立ちました。一方で、佐賀県では前年比16.9%増と高い増加率を記録するなど、地方部での増加も散見されました。

業種別では、その他を除く全7業種で前年から増加しました。特に「建設業」が8217件で最も多く、「サービス業」が前年比7.0%増、「製造業」が同6.0%増と高い増加率を示しました。「運輸・通信業」も過去10年で最多件数となりました。

詳細な業種では、「貴金属製品卸売」が前年比62.2%増、「映画・ビデオ制作」が同56.4%増と大幅な増加が見られました。貴金属製品卸売は、金価格高騰による仕入れ価格上昇や中国人観光客向け販売の停滞が影響し、映画・ビデオ制作は、テレビ離れや広告費の変化、人手不足などが背景にあるとみられます。
能登半島地震からの2年、奥能登で休廃業が倍増
令和6年能登半島地震の発生から2年が経過した奥能登地方(2市2町)では、休廃業・解散件数が48件と、震災前の過去5年平均(23件)から倍増し、過去10年で最多を記録しました。政府や自治体による支援策があったものの、地震による観光業や漁業へのダメージ、度重なる被災、住民の域外避難などが影響していると考えられます。能登地方全体では「建設業」が最も多く、復興が道半ばの地域経済の厳しさが浮き彫りになっています。

産婦人科「桑原母と子クリニック」を運営していた医療法人社団向陽会(七尾市)も、震災後の人口流出による妊婦減少で経営が悪化し、事業継続を断念しました。安定した事業・生活環境の確保が、今後の地域経済復興のカギを握ると言えるでしょう。
今後の見通し:二極化と「静かな退場」の増加
2025年の休廃業・解散件数は減少したものの、依然として高い水準で推移しており、企業倒産と合わせると年間8万社近くが市場から退出した計算になります。今後は、人手不足の解消や後継者選定といった課題に加え、利上げによる借入金の利払い負担増など、経営環境は一層厳しさを増していくでしょう。
収益回復や事業再構築が遅れた企業、後継者問題や事業改革に課題を抱えた零細企業を中心に、退職金の支払いなど企業体力に余力があるうちに、周囲に悟られることなくひっそりと会社を畳む「静かな退場」が2025年以上に増加する可能性があります。比較的経営体力のある企業が支援を受けて廃業を回避できる一方で、厳しい状況にある零細企業が支援の輪に入ることができず、価値ある事業や経営資産を持ちながら市場から姿を消す「二極化」が、今後より鮮明になるだろうと予測されます。
詳細な調査結果は、全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年)にて確認できます。
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