- 元外交官が語る「ほんとうの中国」とは?新潮新書『中国共産党が語れない日中近現代史』が本日発売投稿日 2026年1月17日 14:22:21 (ニュース)
タイトル: 中国共産党が語れない日中近現代史
著者名: 兼原信克 垂秀夫
発売日: 2026年1月17日
造本: 新書
定価: 1166円(税込)
ISBN: 978-4-10-611112-9
URL: 新潮社 書籍ページ
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中国共産党が語らない日中近現代史の真実
中国の近現代史は、中国共産党の極端な秘密主義と大規模な宣伝工作によって、真実から大きく歪められた形で語られていると指摘されています。例えば、大躍進政策、文化大革命、天安門事件といった、中華人民共和国の歴史を画した出来事については、そもそも研究することすら許されていません。これらの事件はいずれも共産党政権が自国民を大量に死に追いやったものであり、歴史研究によって史実が明らかになれば、共産党の統治の正当性が揺らいでしまうため、中国は歴史研究の代わりにイデオロギー的な宣伝工作に力を注いでいるとされています。
中国共産党は、自らの統治の正統性の根拠を「抗日戦争で日本をやっつけたこと」に置いていますが、これは史実とは異なると本書では述べています。抗日戦争を主に戦ったのは蒋介石率いる国民党であり、共産党は日本軍と事実上の協力関係を結び、勢力の温存を図った経緯があるとされています。共産党が国民党を退けて天下を取ることができたのは、ある意味で日本の影響があったと見られます。かつては毛沢東もそう公言していたとされ、彼の存命中は「抗日戦争勝利記念パレード」など一度も行われたことはありませんでした。
そもそも、近代以降の中国の歴史は、日本からの広範な影響抜きには語れないと考えられています。特に辛亥革命の主要人物たちは、ほぼ全員が日本に滞在したり、日本で学んだりしており、革命の母体となった団体(中国同盟会)も東京で結成されているほどです。欧米の先進的な知識も、当時の中国の人々は日本語を通じて習得しており、現在、社会科学用語の7割が日中で共通しているとされるのも、梁啓超などの当時の知識人が西洋語の日本語訳をそのまま中国に「移植」したためだと言われています。
しかし、こうした日本からの広範な影響や交流の記憶は、中国共産党によって「漂白」され、自国中心のプロパガンダに置き換えられてしまっているのが現状です。本書は、このような状況を憂い、実務家として対中外交を担ってきた二人の元外交官が、史実によってプロパガンダを「上書き」する目的を持って企画されました。
実務家が描く「ほんとうの中国」
著者の一人である垂秀夫氏は、2020年から2023年まで駐中国日本国特命全権大使を務めました。その間、日本の国益の観点から一貫して中国共産党の論理に反撃を続けたことから、「中国共産党が最も恐れた男」とも呼ばれましたが、元々は外務省のチャイナスクールの一人として、在外勤務も北京、香港、台北と中華圏のみで経験された、日本有数の中国専門家です。
もう一人の著者である兼原信克氏は、外務省国際法局長を経て内閣官房に転じ、外政担当の内閣官房副長官補、国家安全保障局次長として、安倍政権の官邸外交を支えました(2019年退官)。在任中の最大の戦略的課題は、膨張する中国とどう向き合うかであり、中国のロジックを徹底的に研究されてきました。
実務家として現在の中国を最もよく知る二人の元外交官による対話は、中国の本当の姿を鮮やかに浮かび上がらせてくれます。折しも台湾有事をめぐる発言が注目され、日中関係は緊迫していますが、本書は中国という国にどのように向き合えばいいのかに関する数多くの示唆も含んでいます。ぜひご一読ください。
