
生活保護費を削減する自治体が相次いでいる。「保護を受けていない低所得世帯よりも、生活保護世帯の方が多く貰っている」。こういうデータに飛びついてのことかもしれないが、だとしたら浅はかだ。
生存権を保障する最後の砦が生活保護だが、それを受給するのは容易ではない。生活困窮(要保護)と認められても、「生活保護世帯は●●の所有は認められない、処分せよ」と行政指導がなされる。一昔前は、生活保護世帯がクーラーを持つことに難色が示されたが、今はそうではない。熱中症が問題化している現在では、もはやクーラーは必需品の範疇だ。
しかし、自動車についてはいまだに微妙だ。交通の便が著しく悪い地域を除き、生活保護世帯は自動車の所有は認められない。「保護かクルマか」。二者択一を迫られるシングルマザーの問題について、赤石千衣子氏が報告している(「子育て世帯を直撃する生活保護の自動車保有問題」ヤフーニュース個人、2017年12月17日)。
公共交通網が発達している都市部はともかく、地方では自動車は必須だろう。ある財の必須度は、貧困層の間でそれがどれほど普及しているかで測れる。
都市部を除く37の県で1000世帯あたりの台数が1000を超えている。貧困世帯に限定しても、ほとんどの県で1世帯に1台以上ある計算だ。昭和30年代ならいざ知らず、21世紀の今では自動車はぜいたく品ではない。とりわけ地方では、移動に必要な「下駄」のようなものだ。
自動車の必須度が高い地域において、生活保護の条件としてクルマを手放すのを強いられるのはキツイ。生活困窮にありながらも、この条件が受け入れられず、保護を受けるのをためらう(諦める)世帯も多いのではないか。
生活保護世帯率の要因としては、各県の福祉行政の方針もあるだろうが、自動車保有問題との関連もうかがわれる。上記の赤石氏の記事でも、そのようなことが言われている。
年収下位20%の層には、母子世帯が多く含まれるはずだ。保護の代償にクルマを取り上げられるとあっては、通勤や子どもの送迎もままならなくなる。それならと保護申請を断念し、困窮状態を耐え忍ぶ。地方では、「生活保護かクルマか」の選択を迫られるシングルマザーが少なからずいると推測される。子どもの貧困の持続とも関わることだ。
低所得世帯を対象とした調査で、この説の裏付けを取れたらいい。各自治体の行政がその気になれば、すぐにでもできるだろう。まずは母子世帯に限定してもいい。埋もれている貧困を掘り出すための第一歩だ。
しかしこういうデータを待たずとも、交通網に乏しいエリアでは、生活保護世帯であっても自動車の保有は認められるべきだ。移動という機能に特化したミニカー(マイクロカー)もあるので、生活が軌道に乗るまでの間、こうしたマシンの貸与を検討してもいい。
赤石氏の記事では、「データをさらに集めながら、生活保護の自動車保有の問題を正面からとりあげるべきではないだろうか」と述べている。ここで示した都道府県単位のデータが、その礎石になればと思う。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7473742aa7379aee3b59fc242f312b5a1d8ffe61
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Source: バイク速報